前回写真の見た目では普及タイプのシステムキッチンでも、高級キッチンと遜色ないということを書いたのですが、あくまで見た目の話です。
メーカーさんが高級タイプのキッチンのラインナップをしているのはもちろん普及タイプ以上の価値があるからで、高級タイプとしての価格で売れる自信があるからです。
では一体どこの部分に違いがあって、普及タイプ以上の価格を出してもいいと思える魅力はどこにあるのでしょうか?
住宅設備機器の代理店の仕事に携わって3年くらいすると、そのキッチンが高いグレードのものか安いグレードのものかなんとなくわかるようになり、どこのメーカーのものかも予想がつくようになってきました。
そして5年くらいすると取り換え前のキッチンがどこのメーカーの何の機種かもなんとなくわかるようになってきました。
個人的には何年かそういう関係の仕事に携わっていて、いろんな種類ののキッチンを見ると直感的に違いが分かってくるようになるものだと感じています。
そして7年くらいすると、大体どこを見たらわかるかが分かるようになってくるようになりました。(間違えることもあります(笑))
そういう仕事にかかわらなくても、家にシステムキッチンがあればどうでしょうか?
毎日見ますし、実際に毎日使います。
そうやって毎日使っているうちに良さが分かってくる。
「あぁ、ちょっと高かったけど、これにしてよかったなぁ」
と思える商品。それこそが本当にいい商品というものなのかなと思います。
水や熱、衝撃にもさらされやすい天板やシンク。
開け閉めで触ることが多い扉。
毎日開け閉めされる引き出しのレール。
本体を支える箱(キャビネット)の部分。
醤油や油がこぼれたり、重たい瓶や鍋がぶつかる引き出しの底板。
これはカタログの写真ではなかなかわかりにくい部分であり、前回見た目では普及タイプでも遜色ないと書いた最大の理由でもあります。
なのでショールームに行く機会があればぜひ試してみてください
引き出しを開け閉めするときのスムーズさや音の比較
引き出しを引っ張り切ったときにどこまで引き出せるか?
引き出しを開けたときに底板や側板を見てみたり
天板やシンクを軽くノックしてみるのも面白いかもしれません
見た目はどっちもおしゃれだと思いますが、そういった部分で違いが認識できると思います。
またお手入れのしやすさや、使い勝手の工夫など各メーカーさんで独自の機能を持っている。そういった売りの部分も高級タイプたらしめている要因の一つです。実演コーナーがあると思うので体験してみるのもおすすめです。
その中でも個人的にショールームで一番差を実感しやすいのは扉だと思います。
キッチンのグレードも大事ですが、同じキッチンのグレードの中でも扉のグレード次第では定価見積が10万円単位で変わってきます。材料費として大部分を占めているので、もちろん価格差に影響が出る部分ではあるのですが、サンプルを実際持ってみるとその違いが結構はっきりわかると思います。
まず重さ。高級タイプは何回も塗装しているものや、素材そのものがしっかりしているものになっているので純粋に重たいものが多いです。引き出しのレールがしっかりしているから重たい扉でも開け閉めが楽で、丈夫という理由にもなっている部分です。
次に小口。簡単に言えば扉の角の部分です高いものほど手がかかっていることが分かると思います。角が柔らかい曲線に仕上げてあって水が入る心配がないようになっていたり、ステンレスで縁取ってあったり手やお金がかかっているなと感じる仕様になっていると思います。
そして取っ手。グレードが高いものは少しおしゃれな取っ手も選べるようになっていることが多いです。鋳物製であったりステンレス製であったりクロームメッキ仕上げであったり様々ですが、メーカーにとっては個性が出せる部分なので気合が入っている部分に感じます。せっかくならそのメーカーにしかない種類の取っ手を選んでみるのも面白いかもしれません。(使い勝手はしっかり見極めたうえで)
あとは表面の仕上げ。鏡面仕上げと呼ばれるものはその名の通り鏡の様にのぞき込むと顔が写ります。メーカーによってはこの仕上げにこだわりを持っていてほんとに鏡の様に映り込む仕上げのものもあれば、少し表面が均一でないために少し揺らいで写るものもあったりします。最近では普及タイプに鏡面コートという仕上げが出てきていています。その違いを比べてみるのも面白いと思います。
細かい話になると枚挙にいとまがなくなってしまいますが、高級を語るだけの工夫や技術が込められているので、実際に見てみたり、おうちに実際に最高級タイプのキッチンが施工されると、完成時の存在感は圧倒的だったりします。触れる機会が多ければ多いほど、なるほど高級タイプのキッチンだなという説得力みたいなものを感じます。
ですが最近は印刷技術が進んで、カタログの写真がよくなっているのもあるのですが、「扉そのものに印刷する技術」も進んでいるので、昔なら高級タイプでしか対応できなかったデザインも普及タイプで対応可能になっていたりします。
また引き出しも昔は開け閉めして音がしないものが高いくてゴロゴロ音がするものが安いキッチンって見分け方があったのですが、今は普及タイプでも静かなレールを採用しているところも多いです。(同じものではなく、似たような仕組みのものだったりもしますが)
クリナップのキッチンのステンレス天板も普及タイプは安い材料のものになりますが、昔は加工が難しくて使えなかったものが技術が進化して天板に加工できるようになったから採用されたというものもあります。
そういった高いものが売れなくなってしまった時代背景と技術の発展という恩恵を受けて進化したという部分でお得感が増大している普及タイプをおススメすることもあります。
リフォームのプランの際もキッチンはお任せします。色だけ選ばせてみたいに言っていただく事もあります。
信頼していただいているのかなとうれしく思う部分もあるのですが、決して安い買い物ではないですし、せっかく替えるのであればショールームで現物を確認しながら仕様を決めてほしいと思ってしまいます。
ショールームに行くなら、おうちにあった間口、勝手、レンジフードやキッチンパネルのおさまりなど基本のプランを作って予算を確認してから、さらに予約を取っていくととてもスムーズにプランニングを進めていくことができます。
そういう作業ができてそのメーカー以外のキッチンの知識を持った人間が同行するとなおスムーズです。
そういう作業、私一人ですべてできます。よかったら声をかけてみてください。